2019年9月1日
エスクルでは、皆さまのお声を集めまして、ひとり親家庭の生活向上にむけて国・自治体に要望活動を行っています。
イベントごとに毎回実施のアンケート、日々頂戴してますご意見をもとに、政策要望案をまとめましたので、まずは以下をご覧ください。
お読みになった方は、どの要望案がよりニーズが高いかを数値化するため、コチラのアンケートにご協力いただけますと幸いです。
アンケートは選択肢から選ぶ簡単なものですが、自由記載欄を設けており、皆さんのご意見をもとに以下のたたき台をバージョンアップできればと思いますので、お声お聞かせいただけますと幸いです。(賛同のご意見も大歓迎です。)
※アンケートが署名の代わりとなり、政策要望の根拠として国・自治体に提出されます。多くの声が反映された政策要望は無視できないものとなります。
アンケートは集計して全体共有いたします。ご協力の程、何卒よろしくお願いいたします。
ひとり親家庭の生活向上にかかる
政策要望案(たたき台)
<① 子どもの人権・権利を守る>
・行政による養育費の強制徴収
子どもの権利である養育費について、欧米では行政による強制執行や、社会保障として国から支給されるのに対し、日本は当事者に委ねられ、結果8割が未払いとなってます。(詳しくはコチラ)
養育費の未払いは子どもの貧困に直結するため、社会保障として国が支給し、養育費を支払う側へは税等と強制執行する制度を求めます。
・養育費増額に向けた算定表の見直し
現行の養育費の算定表は、子どもを養育していく上で、十分なものではありません。
子どもの生活が守られる社会の実現には、養育費の増額と、強制徴収の両輪が必要になります。
→養育費の増額に向けて、養育費基準の見直しがされます。(詳しくはコチラ)
・教師のリテラシー向上(いじめ対策)
学校教育の場で、ひとり親家庭の子どもへの配慮が欠ける対応(2分の1成人式で、顔も見たことのない父親に感謝のメッセージを求めたり、父親と母親がいる前提で授業がすすめられたりなど)が寄せられています。
成長とともに子どものこころは大きく揺れ動き、教師にとっては何気ない言動が、子どもの精神的孤立を助長する要因となります。
家庭環境の違いなどマイノリティはいじめの対象にされやすく、その危険性を含め子どもの人権を守るため、教員を対象にリテラシー向上を目的とした研修の実施を求めます。
・ひとり親家庭のこころのケア
ひとり親家庭は、仕事、家事、育児のすべての負担がひとりの親に圧し掛かり、親は精神的な余裕を保つことが難しいです。
親に余裕がなけれえば、子どもにあたってしまうため、まず親が悩みを吐き出せ、気分転換できる場所が必要です。
また、離別、死別、未婚の母で抱える悩みが違いますので、それぞれ個別の対応が必要です。
子どもの笑顔を守るために、親の精神的ケア、また成長に伴う子どもの心のサポートまで、ひとり親家庭の親子の拠り所となる場所の整備を求めます。
・高等教育の負担軽減(大学無償化の拡充)
大学無償化の年収制限の撤廃、私立大学・専門学校も対象とした返済不要の給付型奨学金の拡充など、教育を受ける権利を守るための制度改善を求めます。
→大阪府では大学無償化の年収制限が緩和されます。(詳しくはコチラ)
<② 子育て支援>
・待機児童対策
依然、待機児童で働きたくても働けない家庭があり、特にひとり親においては、働けない=世帯所得が0となり、生活が困難になります。
保育サービスの安定供給のため、保育士の待遇改善を含めた待機児童対策を求めます。(詳しくはコチラ)
・病児保育の拡充
子どもが病気になったとき、急に休みを取ることはなかなかできません。
親が仕事を休めない時に、病気の子どもの世話をする保育施設は少なく、その拡充を求めます。
・学童保育の拡充
児童福祉法改正より10歳以上の受け入れが可能になりましたが、待機児童の問題や地域によって対象を3年生までにしているなど対応に差があります。
学童保育も国として待機児童対策に取り組み、地域差をなくすため全国一律、対象学年を6年生まで引き上げ、時間を19時まで延長、長期休暇時の業者へのお弁当手配などサービス向上を求めます。
・延長保育の負担軽減
各自治体で延長保育料基準額表を定めていますが、その適用は公立保育園までで、私立園は任意に延長保育料を設定できます。
延長保育料は地域差があるため、国による延長保育の負担軽減に向けた延長保育料基準額表の策定と、私立園への適用を求めます。
<③ ひとり親支援>
・寡婦(夫)制度の格差是正
一部自治体を除き、未婚の母は寡婦控除の対象となりません。(詳しくはコチラ)
男性の寡夫控除は年収制限が設けられ、また控除額も女性より少なく設定されています。(詳しくはコチラ)
法の下の平等の精神のもと、性別・社会的身分による格差のある本制度の是正のため、未婚の母に寡婦控除の適用、男性には年収制限の撤廃と、控除額増額を求めます。
・遺族年金の格差是正
遺族厚生年金、遺族補償年金(労働災害)、厳密には遺族年金ではありませんが、寡婦年金には男女格差があります。(詳しくはコチラ)
法の下の平等の精神のもと、性別による格差のある本制度の是正のため、男性の遺族年金の増額を求めます。
・行政によるひとり親LINE相談
ひとり親は仕事、家事、育児を一人でこなし、平日に役所に行く時間を捻出することは難しいため、簡易の相談についてはLINEで対応いただくなど、行政サービスの拡充を求めます。
・行政による面会交流支援
→具体的な要望案を募集します。
・ひとり親予定者のサポート
離婚準備期間は、幼児保育、延長保育料が夫婦合算の世帯収入に対しての金額になり、公営住宅も支援対象外など行政のサポートが受けられません。
ひとり親になる漠然な不安を抱えており、経験者に悩みを相談できる場所を含めた離婚準備への支援を求めます。
・ひとり親が働きやすい職場環境の整備
ひとり親が働きやすい社会の実現のため、ひとり親を雇用した企業への助成金制度の創設を求めます。
高齢者、女性、障がい者に加え、ひとり親も助成金の支給対象とし、ひとり親の心理的負担感の軽減にもつながります。
・父子家庭の支援強化
サービスや支援を求める父子家庭は多数潜在するにも関わらず、必要な事業が行き届いていないのが現状です。
父子家庭は全国で18万世帯しかなく、孤立しがちなため、横のつながりや交流を促進する支援を求めます。
・収入制限のないひとり親手当の給付
ひとり親であれば所得に関係なく一律受給可能で、現行の児童扶養手当、遺族年金とあわせて受給できる、ひとり親手当(仮称)の給付を求めます。
・異性児を育てるひとり親の支援強化
ひとり親、特にシングルファザーは育児において相談できる相手を有しない場合が多いです。
そのようななか、子の育児、とりわけ異性児に関する育児については経験・体験・知見などに乏しく、困ることが多く、育成の各段階における課題に対して、相談可能な行政窓口の設置を求めます。
・ひとり親を孤立から守る活動への補助金支給
ひとり親は、同じ状況の家庭が少なく、悩みをひとりで抱え込み孤立しがちです。
ひとり親を孤立から守る活動には補助金を支給するなど環境整備を求めます。
以上
【参考】
●保育無償化への対応、保育士の待遇改善について内閣府に要望しました(詳しくはコチラ)
●ひとり親支援にかかる政策要望(詳しくはコチラ)
【エスクル・エミナルの意見交換について】
11月のエスクル・エミナルでは、上記を参考に意見交換タイムを設けます。
皆さんの様子を見つつ、打ち解けてきたタイミングで、意見交換タイムを設けたいと思いますが、そのほかに盛り上がっている話題があればそちらを優先いただき、交流促進の一つの取り組みですので気軽にお考えください。
上記以外にもご意見・アイディアを募集してますので、気軽にお声かけください。
【追伸】
制度理解など誤った点があるかと思いますので、お気づきの方はLINEなどでご指摘いただけますと幸いです。
当初は、子育て支援とひとり親支援の二本立てで考えていたのですが、子どもの人権、権利が守られていない現状について問題提起したく、上記①~③の3部構成となりました。
子どもの権利である養育費が全体の2割しか払われていないことは異常なことで、声をあげていかないといけない問題です。
また、3組に1組が離婚する今、ひとり親はマイノリティではなく、現状に即した子育ての環境整備が必要です。
2018度の出生数は91.8万人、出生率は1.42と毎年、最低値を更新し続けており、政府は2025年までの「希望出生率」を1.8にする目標を掲げていますが、具体的な道筋は見えません。
子どもの権利を守り、子育て世帯優先する「キッズファースト」の考え方が広がり、子育て世帯、ひとり親世帯に優しい社会を創っていくことができれば、大勢が子どもを持ちたいと思えるようになり、少子化の改善がされると思います。
ひとり親家庭の全体の生活向上にむけ、コチラのアンケートなど皆さまのお力をお貸かりしまして、集団として声をあげていれば幸いです。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。