2021年5月3日
金銭面だけでなく心理的なひとり親家庭の負担
(神戸新聞に取り上げられました)
5月3日(月)、憲法記念日の祝日に、シンママ・シンパパ、双方のリアルなお声を神戸新聞に取り上げていただきました。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、日本国憲法の25条で規定されている「生存権」が脅かされるケースが起きている。特に深刻なのが、ひとり親世帯や雇用が不安定な女性たち。取材したシングルマザーは「コロナで倒れるのが先か、お金がなくて倒れるのが先か」と嘆く。憲法の施行から3日で74年。改めて生存権が問われている。
「いつまでこんな生活が続くのか…」
京都市内で文筆業を営む男性(46)は頭を抱える。離婚を機に3年前、6歳と8歳の娘を抱え東京から移住した。
本業の傍ら、月に2回関東にある専門学校で講師をしていたが、コロナを理由に一時休業に。企業から、業績悪化を理由に記事提供の仕事を切られたこともある。昨年から、収入が前年の半分や3分の1以下になる月が続く。娘が家にいる時間が増え、食費や光熱費もかさむ。
「ひとり親はフルタイムの仕事に就きづらく、仕事を変えるわけにもいかない。子どもを守るため、日々耐えるしかない」。苦しさを吐露する。
伊丹市の40代女性は昨年、6年ほど勤めた介護施設を辞めた。高齢者施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次いだからだ。
小学生の一人息子を育てるが、周囲に頼れる身内はいない。「息子には私しかいない。感染が怖かった」。苦渋の決断だった。
その後、清掃会社で働いたが、数カ月は試用期間のため収入は半分近くに。元夫からの養育費も滞ったままだ。冬は暖房代を節約するため、家の中でもコートを着て過ごした。
空っぽの冷蔵庫を見つめては、生活保護を申請しようか迷う日々。だが「(生活保護への)世間の風当たりは強い。近所でうわさになるかも」とためらう。
コロナ禍で苦しむ人を支えるため、政府は低所得のひとり親世帯に対し、これまで2回、給付金を支給した。ただ、離婚が成立していないなどさまざまな事情を抱え、救済策からこぼれ落ちるケースがあった。
3回目は両親がいる世帯にも対象を広げ、子ども1人当たり5万円を給付する。無利子の融資制度も拡充し、低所得世帯には返済を求めないと決めた。
一方、生活保護の申請には、援助できる親族がいないかを福祉事務所が確認する手続き「扶養照会」がある。虐待などを背景に、家族と連絡を絶っている人にとって、申請のハードルになっている。
一般社団法人「ひとり親支援協会」(大阪市)の今井智洋代表理事は「ひとり親は金銭面だけでなく心理的な負担も大きい。周囲からのバッシングに心を痛める人も多い」と話す。(2021年5月3日付 神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202105/0014294507.shtml
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