シングルファーザーの社会的「孤立」にかかる問題提起と、改善にむけた要望書

 

 

父子家庭アンケート集計結果速報とあわせご覧ください。

 

※以下は要望書案です。ご意見・お問い合わせのある方は公式LINEフォームよりご連絡ください。

 

 

関係者速報

 

内閣総理大臣 菅 義偉  様

厚生労働大臣 田村 憲久 様

日本年金機構 理事長 水島 藤一郎 様

全国市長会・全国町村会 御中

 

 

シングルファーザーの社会的「孤立」にかかる

問題提起と、改善にむけた要望書

 

 

一般社団法人 ひとり親支援協会

ひとり親交流サークル「エスクル」

 

 

 一般社団法人ひとり親支援協会は、10月13日(火)~10月31日(土)にかけ、父子家庭(予定者含む)を対象としたアンケート及びヒアリング調査をオンラインで行いました。

 

 今まで定量化・定性化が難しかった父子家庭の社会課題を可視化し、シングルファーザーが社会的に「孤立」する現状について、問題提起と改善に向けた要望書を提出いたします。

 

 

 

シングルファーザーが社会的に「孤立」する背景

 

・男性用トイレにオムツ交換設備が少ないなど、世の中が父子家庭を想定していないと感じる

 

・病院に行くたびに、「母子手帳」を出してくださいと言われるとつらい気持ちになる

 

・行政支援は所得制限によりほとんど受けることができない(行政に相談しようと思えなくなる)

 

・また、死別父子家庭がうける遺族年金は男女格差があり、最大で2,000万円以上も支給額に差が出る(寡婦年金などはそもそも男性は対象にならない)

 

・相談、交流など母子家庭のみを対象としている行政支援も多く、そもそも利用できない。

 

・母子寡婦福祉連合会、シングルマザー支援団体なども「母子家庭」を対象としている

 

・中には父子家庭も対象としているケースもあるが、母子やシングルマザーという名前のため参加できない

 

・父子家庭であることを周りに打ち明けられない、身近に父子家庭がいても気づけない

 

・シングルファーザーならではの悩み(家事、弱音を吐けない・吐く相手もいない、周りのサポートをうけられない、娘の思春期の対応、PTAなどママ会対応など)を相談できない

 

→コロナ禍による経済的な影響に加え、社会的・精神的な「孤立化」が進んでいる。

 

 

 

父子家庭アンケート調査の概要

 

・8割が親と同居していない

 

・6割が残業や子どもの急病時に預ける場所がない

 

・8割が養育費をもらっていない

 

・児童扶養手当を6割が受給していない(予定者も回答)

 

→多くの行政支援は児童扶養手当世帯を前提としている

 

・コロナの影響で5割強が収入減・収入減の見込み

 

・コロナの影響で5割強が支出増

 

・児童扶養手当の所得制限の緩和が必要の回答は9割

 

有効回答件数:233件

 

 

 

 

具体的な要望内容

 

 

  • 父子家庭の社会的認知と相談・交流の場の拡充とを求める

 

 自治体で行っておりますひとり親家庭への相談、交流事業はなど母子家庭のみを対象としている場合が多く、父子家庭はそもそも利用できないケースもあります。

 

 コロナ禍による経済的な影響に加え、社会的・精神的な「孤立化」が進んでおり、子どもの笑顔を守るためには、親の精神的余裕、気軽に悩みを相談できる場所が肝要です。

 

 なかなか自治体単体での対応が難しい背景もあるかと思いますので、その場合は民間の支援団体と連携するなど父子家庭の相談・交流事業の拡充を求めます。

 

 また男性が使えるオムツ交換室など、世の中が父子家庭の存在を認知し、受け入れられるように、国・自治体が率先して周知やご対応いただくようお願いいたします。

 

 加えて「母子手帳」の名称を変えてほしいというお声もいただいており申し伝えます。

 

 

 

 

  • 児童扶養手当の所得制限の緩和など支援拡大を求める

 

 児童扶養手当には所得制限があり、所得を超えると受給できません。

 

 例えば子ども一人の場合、所得が230万円を超えると児童扶養手当が受給できなくなります。

 

 

ひとり親家庭世帯数と児童扶養手当の受給率

 

世帯数 児童扶養手当
受給率
児童扶養手当
非受給世帯数
母子家庭 123.2万世帯 73.0% 約31万世帯
父子家庭 18.7万世帯 51.5% 約9万世帯

 

※平成28年厚生労働省 全国ひとり親世帯等調査より

 

※上記は、全額支給と一部支給を合算した世帯数です。

 

 

 児童扶養手当を受給できないことで、割引、食料支援、ひとり親割引、公的支援の対象者からもれ支援がうけることができなくなります。

 

 所得制限を理由に支援がほとんどない父子家庭が多く、今回のアンケートを回答した父子家庭の9割が児童扶養手当の所得制限の緩和が必要としています。

 

 また、8割が養育費をもらっておらず、8割が親と同居しておらず、6割が残業や子どもの急病時に預ける場所がない状態です。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、収入・支出ともに影響をうけている父子家庭が多く、児童扶養手当の所得制限の緩和を求めます。

 

 あわせて、父子家庭を含めたひとり親家庭の生活はひっ迫しており、2度目のひとり親臨時特別給付金の支給を改めて求めます

 

 

 

 

  • 死別父子家庭の遺族年金の格差是正を求める。

 

 遺族基礎年金と遺族厚生年金のうち、遺族厚生年金には男女格差があります。

 

 例えば、夫30歳・妻30歳の共働き家庭のケースを考えてみます。夫が亡くなった場合、妻はその直後から遺族厚生年金を受給することができます。ところが、妻が亡くなった場合、「死亡時に55歳以上」という要件を満たさないと、夫は遺族厚生年金を受給することができません。(但し、子どもには受給権があります。)

 

 

 その上、「中高齢の加算」でも男女差別が存在します。死亡者の配偶者が一定の要件を満たす40歳以上65歳未満の「妻」であれば「中高齢の加算」として遺族厚生年金に上乗せがありますが、「夫」の場合は上乗せが一切ありません。

 

 

 以下に、39歳の親と17歳の子ども1人が遺族になった場合の遺族年金の合計額を試算します。

 

 

遺族年金の男女格差

 

遺族基礎年金 遺族厚生年金 中高齢寡婦加算 合計
死別母子家庭 100.66万円* 40~65歳**

888万円

【37万円×24年】

40~65歳

1,407万円

【58.63万×24年】

2,395.66万円
死別父子家庭 100.66万円* 37万円 *** なし 137.66万円
男女格差 2,295万円

 

※平均標準報酬月額30万円・2020年度の例、ファイナンシャルプランナー(FP)による試算

 

*子どもが18歳まで。**終身の場合もある。*** 子どもが18歳まで、夫が40歳以降はなし

 

 

 さらに遺族補償年金(労働災害)、寡婦年金(男性は対象にならない)についても男女格差があります。

 

 男女格差の是正のため、父子家庭の遺族年金を母子家庭と同等とするよう改善を求めます。

 

 

 これまで父子家庭の問題解決が進まなかった背景には、社会的に「孤立」していたため、シングルファーザーが連携して声を上げることが難しかったことが挙げられます。

 

 今回の父子家庭を対象としたアンケートおよびヒアリング調査を行ったことで、今まで定量化・定性化の難しかった父子家庭の社会課題を提言するに至りました。

 

 各位におきましては、シングルファーザーの社会的「孤立」する現状をご認識の上、課題解決のため、具体的な対処をしていただけますようお願いいたします。

 

 

 

 

(参考)父子家庭(予定者含む)アンケート集計結果

※以下のデータはスマートフォンで見やすいようにまとめています。(PCの場合は文字が見づらいなどあるかもしれません。)

 

 

シングルファーザー予定者:5.2%、未婚シングルファーザー:0.9%

 

 

収入が去年より増えた:5.2%

 

 

支出が去年より増えた:6.9%

 

 

 

(抜粋)コロナによる収入・支出への影響を詳しく教えてください。

 

  • 休校の為、仕事に行けず、休職。手当てや補償の申請はしたが、2か月強、後れ。あらたな職場に行き始めるが給料も1か月以上後…未だに穴埋めが追いつかず。

 

  • コロナの影響で仕事は休業や減少で収入も激減、7月より在宅での再開となったが、保育園もしばらく休みだったため、昼の食事やおやつ、子供のストレスにならないようおもちゃや絵本、文具などの購入も増え、支出は逆に増えた。

 

  • 仕事に行きたくてもコロナによる人員整理での解雇や体調が悪くなると回復してもコロナに関係無く自宅待機を告げられる。

 

  • 昨年末から子供の保育園の送迎、子供の体調不良での休みの事をずっと言われていて、その時コロナの影響で勤めていた会社の業績が落ち、1人親だから規定業務を出来ないと言われ即解雇されました。

その後ハローワークに行っていたのですが一般求職者でも仕事が無いのに1人親だと尚見付からないと言われてた中、5月に次女が無呼吸になってしまい手術をしないとと言われていたのですがコロナで手術が出来ないと言われてしまい7月に手術が出来たのですが、退院したその日に血を吐いてしまい未だに半日登園といった状態で就職活動は出来ません。

その状態を市役所に伝えていたのですが、国保代や年金、税金などは何の対応もしてもらえず払えない状態で首を括る勢いです。

支払いも求職活動も何も出来ない状態です。

 

  • ひとり親家庭なりの育児と仕事のバランスがやはり難しい現状がたくさんある。

残業や休日出勤等も育児により制限されるため、仕事による収入もかなり限られてしまう。

また、子供が体調を崩した時などは仕事も休まなくてはならないため、その分収入も減る。

それに反して日常生活や育児に関わる支出は成長のたびに増え、また将来を見据えると蓄えも必要になってくる中、困窮している家庭もたくさんあると思う。

仕事の収入プラス各種手当でも一般の家庭の世帯収入には到底満たないのが現実ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20代:3%、60代以上:0.4%

 

 

 

 

パート・アルバイト:3.5%、無職:3.9%

 

 

 

(抜粋)今一番困っていることを教えてください。

 

  • 年収850万円以上だと遺族厚生年金も無ければ、何の手当もありません。しかしながら、ひとり親になると今までたら同じ働き方が出来ないので、確実に年収は下がります。しかし、遺族年金は、配偶者が亡くなった時の年収だけでみるので、翌年、下がったとしても支給されません。小さい子どもがいると延長保育や、ファミリーサポート等を使って、支出は増えますが、収入が減っているので、何らかの支援があるとありがたいです。

 

  • コロナの影響があるが、収入制限で支援は何も受けられないうえに、配偶者控除がなくなり負担が増えた。

 

  • 泣きたくなる…支援がないから、更に働く子供達の為に我が身も厭わず働くしかない。

親として当たり前だけど支援を少しでも緩くして欲しい。

 

  • 児童扶養手当の前年所得基準を無くして欲しい。

 

  • 異性の子どもの教育。思春期に入っていくとより懸念が多くなる。この点のサポートを行政にも期待したい。

 

  • PTAとか子供会等、制度設計が両親が居る家庭前提になっている。そうでない家庭もあるのだから多様性を認めて欲しい。

 

  • 男性用トイレにオムツの交換台がないし、大便用の個室には子供を乗せておける椅子もない。

父子家庭の父親も買い物に行くし、出先でオムツ交換もあるが、その事を理解して欲しい。

 

  • 母子手帳という名前を変えてほしい。文字を見るたびに辛い気持ちになる。

 

  • 国に望んでも仕方ないと思ってるので何もない。仕事をダブルワークなど増やして何とかするのみ。

 

 

 

 

【要望の詳細】

 

日程:2020年11月24日(火)

 

場所:厚生労働省

   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1丁目2−2

 

HP:https://www.mhlw.go.jp/index.html