※本要望書は6月17日まで審議される第二次補正予算に向けてまとめた内容です。詳しくはコチラをご覧ください。
※多くのテレビ・新聞などメディアに取り上げていだきました。(詳しくはコチラ)
※これを機に児童扶養手当の増額や受給者拡大が進むよう、引き続き声をあげていければと思います。
※ご意見ある方はコチラよりご連絡ください。
2020年5月28日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
全国市長会・全国町村会 御中
ひとり親世帯 臨時給付金にかかる要望書
一般社団法人 ひとり親支援協会
ひとり親交流サークル「エスクル」
一般社団法人ひとり親支援協会では緊急のアンケート調査を行い、ひとり親世帯のひっ迫している状況が浮き彫りとなりました。(全国1,292人のひとり親が回答)
このような状況下で、児童扶養手当の増額や臨時給付金の検討がされ喜ばしい限りです。
一方で、手当をもらってないひとり親からも悲痛のお声を頂戴しており、以下の通り要望いたします。
●児童扶養手当受給の有無に関わらず、20歳までの子どもを扶養するひとり親世帯への支給を求めます。
児童扶養手当は前年度の所得をもとに決まるため、現在の生活状況とは必ずしも一致しません。
アンケート調査では、ひとり親世帯全体への給付が必要の回答は8割強でした。
また手当の支給は18歳までですが、18歳以上の子を扶養するひとり親家庭でも家計はひっ迫しています。
さらに与党が検討している臨時給付金は児童扶養手当の非受給世帯が申請する場合、大幅な収入減を前提としていますが、収入が変わらない、育児休暇明け等で収入が増えた世帯でも、食費・光熱費をはじめ支出増により生活は苦しくなっています。
加えて収入が変わらなくても、今回のコロナの影響で養育費が滞ったひとり親世帯もあります。
以下に児童扶養手当を受けていないひとり親世帯の声をお伝えします。
20代 シングルマザー
「会社を解雇され無職です。去年の年収がいつもより少し多かったために、児童扶養手当はありません。」
30代 シングルマザー
「派遣で保育士をしておりますが、園が休園になり派遣は強制的に休みにされました。息子も幼稚園が休みでずっと家にいますので、食事や水光熱費、ドリルや遊具など子どもが遊べるものなど何かとかかります。」
30代 シングルマザー
「子供の休校、親の減収や失職でも、進学や進級などの支出は変わらない。児童扶養手当の支給要件が厳しく、受給者でなくても日々の暮らしで精一杯な上、貯金の少ないひとり親が多い。その為、生活費以外に待った無しで支払わなければならない費用負担も大きい。」
30代 シングルファーザー
「収入はコロナで仕事が流れてしまった。施主さん側から工事をキャンセルされてしまい自宅待機がありました。給料も昨年に比べ4割強落ちました。支出は子供の学童に通う弁当費やおやつ代など外出も自粛だったのでオモチャ代などで。」
30代 シングルファーザー
「鉄工所に勤務していますがコロナの影響で会社自体の仕事が減りました。それまでは毎日の残業と土曜出勤や休日出勤などもしていました。そして今年児童扶養手当が所得制限で全部停止になりましたが一生懸命働いて生活を保っていました。しかしコロナにより仕事が減った為、残業ができなくなり、土曜出勤がなくなり、休むように言われて約1ヶ月になります。今日給料明細をもらいましたが先月より手取りでマイナス7万円で生活費を下回ります。病院代も高いので体調が悪くても歯が痛くても病院に行こうとなんて思えません。」
40代 シングルマザー
「小さい子供より大きい子供、中学だったり、高校の方がお金がかかるから。それに18歳になったら児童扶養手当を貰えなくなるのは辛いです。大学や専門学校などにもお金がかかるし行かせてもやれないから。子供が18歳以上の母子家庭も支援金もしくは受給ができるようになってほしい。」
40代 シングルマザー
「子の休校、私の原則リモート勤務により、自宅にシッターさんを呼び、子のお世話をお願いしないと仕事にならず、頻繁に利用している。内閣府のシッター費用割り引き制度は会社が手続きを嫌がる為利用出来ず、満額を負担せざるを得ない。シッター費用を払うために働いている状況。収入が減ってなくても支出が増えることにより生活が苦しくなるひとり親もいる。」
30代 シングルマザー
「去年は育児休業で休んでいましたが、今年から働いてますが、コロナで学校休みで仕事を休まなければいけなく、去年より収入が増えたといってもそれは休業してただけで。収入は少なく、子供のオムツ代や昼食代、新入学や新学年の文具代など支出が上回り、家にある売れそうな物を売ったりして何とか生活してます。」
●障害年金・遺族年金を受給するひとり親世帯、特別児童扶養手当を受給するひとり親世帯への支給を求めます。
現在、障害年金・遺族年金を受給する多くの場合、児童扶養手当を受けられません。
児童扶養手当は、児童の養育を目的に支給される制度で上記年金とわけて考える必要があり、障害年金・遺族年金を受給するひとり親世帯への支給をお願いします。
なお特別児童扶養手当を受給し、障害児を養育するひとり親世帯への支給もお願いします。(※特別児童扶養手当は20歳未満までが対象)
以下に障害年金・遺族年金を受給するひとり親世帯の声をお伝えします。
40代 障害をもつシングルマザー
「障害年金を貰って居ますが到底生活費には足りなく働いてました。しかし、時給制から一旦仕事はなくなり、2ヶ月後再開しましたがその間は無給、オマケに出来高制になってしまい1日7時間働いても1800円くらいしかならなくなりました。別の仕事を探してはいるのですが、何せ障害者なので働ける所がなく、1800円でもしがみつくしかないんです。」
40代 障害をもつシングルマザー
「週末アルバイトをしていたが、コロナの影響でアルバイトがなくなり、子供達も家にいるようになり、食費、光熱費がすごく掛かり、支払いも滞っていました。自分自身、障害年金3級を受給していて、児童扶養手当ももらえていません。支出ばかりが増える状況です。」
30代 障害をもつシングルマザー
「仕事を休み、収入源が無くなりました。が、精神障害者で障害年金受給者で児童扶養手当受給資格無し。年金だけではやっていけない。子供の昼食代がかかり、赤字です。」
50代 死別シングルマザー
「パート先が雇用調整助成金を国に請求しないため2ヶ月給料無しで有給で社会保険等をまかないました。職種は学校給食なので完全に休みでした。自宅に居るだけなので光熱費等が上がり少ない預貯金を崩して生活してます。」
30代 死別シングルマザー
「イベント関係の仕事をしているため、収入はほぼ無くなりました。子供たちも学校がないので毎日自宅にいるため、食費などの支出がかなり増えています。また、除菌グッズやマスクなどの支出も増えました。高額でも購入するしかなかったので……」
40代 死別シングルマザー
「死別後就業する予定だったが、コロナの影響で見送りになった。子供達は家にいるので、食費は増え、下の子は通えていない幼稚園の経費を払い続けなければならず(保育園にも空きなく、元々専業主婦で無職だったため入れず)厳しい。」
50代 障害児をもつシングルマザー
「19歳の発達障害の子を育てています。18歳以上のため、児童扶養手当の対象になりません。私のようなひとり親もいることを知ってほしいです。」
●臨時給付金の迅速な支給を求めます。
各種報道では、与党が現在している臨時給付金は8月支給予定と聞いています。
臨時給付金が決議された際はできる限り迅速な支給をお願いします。
●各自治体のひとり親世帯への支援拡充を求めます。
各自治体で独自のひとり親支援策を打ち出し、大変喜ばしく思います。
ただ、コロナの影響をうけ自治体独自のひとり親支援があるとの回答は2割にとどまりました。
また現状の支援策は、児童扶養手当世帯のみを対象としているケースが多く、上記と同様の理由で手当受給の有無に関わらず、ひとり親世帯全体を対象と支援拡大をお願いします。
加えて、飲食店がお弁当を無償配布するなど民間によるひとり親を支援する動きが広がっています。
民間支援がさらに広がり、継続的にサポートできるように、国・自治体がひとり親を支援する企業・事業者を補助する仕組みや環境整備を求めます。
●最後に
今回のアンケート調査で、児童扶養手当を受給していないひとり親世帯の中にも今まで見えなかった生活苦があることが明らかとなりました。
また、障害年金・遺族年金と、児童扶養手当は目的が違うにも関わらず併給不可に疑問が残ります。
本要望が、児童扶養手当の増額や受給者拡大を検討するきっかけになると幸いです。
以上
(参考)ひとり親すべてが児童扶養手当を受給しているように思われがちですが…
児童扶養手当には所得制限があり、所得を超えると受給できません。
例えば子ども一人の場合、所得が230万円を超えると児童扶養手当が受給できなくなります。
※児童扶養手当の算定方法には、養育費も所得に含まれます。
<ひとり親家庭世帯数と児童扶養手当の受給率>
世帯数 | 児童扶養手当 受給率 |
児童扶養手当 非受給世帯数 |
|
母子家庭 | 123.2万世帯 | 73.0% | 約31万世帯 |
父子家庭 | 18.7万世帯 | 51.5% | 約9万世帯 |
※平成28年厚生労働省 全国ひとり親世帯等調査より
※上記は、全額支給と一部支給を合算した世帯数です。
※詳しくはコチラをご覧ください。
【参考情報】
●集計結果:コロナの影響と児童扶養手当にかかるアンケート(詳細はコチラ)
●児童扶養手当の増額を検討(詳細はコチラ)、
また、上記では言及しておりませんが、実際にはひとり親と同じ生活をしているにも関わらず支援を受けられない別居中のひとり親予定者についても何かサポートが必要と感じています。
詳しくはコチラをご覧ください。
【要望の詳細】
日程:2020年5月28日(木)
場所:厚生労働省
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1丁目2−2
HP:https://www.mhlw.go.jp/index.html